水底ガムシロップ

世の中わかんないことばっかりだ

【映画を見た】時計じかけのオレンジ

夏休みまでに自分としては面白いくらい映画を見たので、ちょいちょいつまみながらメモを残していこうと思う。

 

 

www.youtube.com

 

元々随分難しい映画とは聞いており、賛否も面白い分かれ方だったので見た。

見終わった後「めっちゃ難しい映画だな…」と思った。

 

主人公が歩き、望むままの暴力と無法を働く背景はどこを切り取ってもモダンで綺麗で悪趣味極まるものだった。

これが主人公の非現実的な行動と思考とぴったりはまっていて、アニメーションもCGも使っていない、魔法もファンタジーも出てきていないのに絵空事感が凄い。だからというのかなんなのか、登場人物たちの悪趣味かつ残忍な行いもいい意味で臨場感がなかったので特に問題なく見れてしまった。

この映画の監督であるスタンリー・キューブリックの作品は他に「シャイニング」を見たのだがその映像づくりというか、映画なのに一枚の絵画としての出来を追求しまくっているようなこだわりを感じた。ここは本当にすごくて、絵空事のような悪趣味な空間をよくここまで魅力的に切り取れるな!と本気で感動していた。

 

主人公の部屋から非行少年たちのたまり場である白い施設まで、恐らく公開当時から50年近く経った今なお「わ~悪趣味!!!」と言えちゃうレベルの造形と美術とカラーリングは本当にすごい。これだけでも見る価値はある。時代を超越して「美しい」と評価されるものはもちろん価値があるだろうが、時代を超越して「悪趣味」と言わしめるものもまた評価されるべきだと私は思う。

悪趣味といえば、私は字幕版でこの作品を見たのだが訳者が死ぬほど苦労したであろう痕跡がありありと残っていて逆に面白かった。でもちゃんとナッドサッド言葉の珍妙かつどこか常識とずれた空気はちゃんと伝わってきたのですごいなあと思ったし、ちゃんと元の言語を勉強して見たらどう感じるのかも気になった。

 

外面の話ばかりで恐縮だが、これは私の頭が残念すぎて中身の内容があんまり身に入ってこなかったのもある。

主人公はその欲望の報いを受け捕まり、更生の為にこれまた悪趣味極まる実験の被検体になってしまい気が狂ってしまう流れなのだが、

更生を目的にした大人たちは主人公の事を喋って動くモルモットくらいにしか思ってなさそうだったのも大変良かったし、

大人たちから下される非道な罰を受けて泣き喚きのたうち回る主人公もとても良かった。めちゃくちゃ悪趣味だった。

 

なんというか、ほんとうに隅から隅までどこを切り取っても悪趣味なので、とびっきり質の悪いジャンクフードを食べたい時に見たいなあと思う映画だった。

悪趣味ってずっと言ってますけど私はこれ褒め言葉だと思ってるのでよろしくお願いします。