絵本系スマホゲームはMonument ValleyとLIMBOを書いた。もう一つ書き留めておきたかったのがこのTengamiだ。
「折り紙」「千代紙」そして「和」をモチーフにした外国産の横スクロールゲームである。
音楽はかの有名なデビットワイズ氏。氏の得意とするアンビエントな曲調と和楽器の独特な調和が荘厳な空気を作り上げている。
とにかくこのゲーム、「和が好きな外人の「僕たちは和のこういうところが大好きです!」がビシバシ伝わってくる。好きという気持ちは込めれば込めるほど第三者に伝わるものだが、このゲームはそれが非常に強く、やってる最中ニコニコしっぱなしだった。
大事なのは「和が好きな外人」だ。純日本産の和ゲーでは絶対に出せない、他国のものだからこその憧れ、夢がこれでもかと詰められている。それが真実かどうかは関係なく、日本人では逆立ちしても作れない、現実のものとも違う独特の和の世界がそこにある。この作品の魅力はそこに尽きる。
あとどのステージでも言えることなのだが、BGMの入り方が非常に自然というか、いつの間にか音が聞こえている感じ…伝わる?これ伝わるかな…三週くらいしてBGMがどのタイミングで鳴り出すのかを是非確認してほしいのだが、あれ最初からでは決してない。しかるべき場所にプレイヤーが到達すると自然に、ごく自然にかかるのだ。私は昔舞台音響をかじっていた時期があったのだが、こういう「いつの間にかBGMが流れてる」というのはちょっとやそっとの技術ではできない。ただ単にフェードインすればいいってもんでもないのだ。注意深く聞いてないと音の入りがわからないなんて現代忍者技術すぎて私は感服した。音を作った人もそれを配置した人もすごすぎる。
で、肝心のゲーム性なのだが、私の頭が若干残念なせいでかなり難しかった。
ゲームの性質上、簡素な単語くらいしかヒントが出てこず、大体視覚でなんとかしないといけない為ひらめきが大変重要になる。ぐりぐり動かしていればいいわけでもないので頭の悪い人だと途中で投げて攻略動画を見る人もいると思う。というか実際私は見てしまった。
こんな事を言うのはゲームの製作者さんに失礼なのかもしれないが、私はこのゲームに対してはゲーム性よりも雰囲気とビジュアルとBGMとおいしい和紙の空気を求めていたので、攻略を見るのに何の呵責も感じなかったし、ゲームが難しいことはそこまでマイナス評価とは思わなかった。ただ100点満点ではない、というくらい。
とにかく世界観と空気は完璧なので、WiiUだろうがSteamだろうがAndroidだろうがなんでもいいのでやってほしい。
いい匂いのする外国製和紙絵本を、あなたの手に。